企画記事(作者さんへインタビュー)

番外編(「DESIRE 背徳の螺旋」「EVE burst error」「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」などの企画・ゲームデザイン・シナリオ担当の剣乃ゆきひろさん

 

 

「YU-NOは『真のロールプレイング』への挑戦」

 

「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(©elf)
「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(©elf)

剣乃ゆきひろ(けんの ゆきひろ)さんとは。

企画・ゲームデザイン・シナリオライター。株式会社アーベルの創業者で初代代表取締役社長。代表作に、「DESIRE 背徳の螺旋」「EVE burst error」「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」など。(wikiより)。

 

インタビュー・文:「セガサターンマガジン」編集部(1997年) 

* 転載の許可済みです。

 

――「YU-NO」をプレイしたことがない読者の方もいると思います。まず、「YU-NO」でポイントとなるキーワードをお聞かせください。

 

[A.D.M.S](アダムス)という新たなマルチシステムが、キーワードとなるでしょう。これは「Auto Diverge Mapping System」の略で、直訳すると、自動分岐マッピング機能となります。従来のいわゆるマルチストーリー型のゲームでは、ストーリーの分岐点がわかりにくかったと思います。これはこれで分岐点を探す楽しみというのもありましょうが、同時に繰り返し同じシーンを見なければならない場合もあり、時にはわずらわしくもある試行錯誤を、何度も繰り返さなくてはなりませんでした。そういった点を解消するため、この[A.D.M.S]が生まれたのです。
プレイヤーが起こす行動や判断により、ストーリーは多種多様に分岐し、生み出されていきます。その分岐状況を目で見るマップでツリー表示し、分岐点が近づくとチャイム(効果音)も鳴り、目と耳でプレイヤーは状況を把握することができるのです。マップ上の自分の位置を確認しながら、色々なアイテムや情報を集め、様々な分岐世界を行き交う……これが[A.D.M.S]です。

 

――[A.D.M.S]システム、独特の世界観について、誕生秘話があれば教えてください。

 

シナリオとシステムは、僕の場合表裏一体なんです。あるきっかけから、システムはこう、シナリオはこうと、論理の将棋倒しが起こり、ゲームデザインが確立していくのです。

 

――剣乃さんは、前作のマルチサイトシステムなど、斬新なシステムやシナリオを次々とクリエイトしてきました。今回[A.D.M.S]というシステム上で、並列世界を扱おうと考えたきっかけをお聞かせください。

 

「必要は発明の母」という言葉がありますが、今回の[A.D.M.S]はまさにそれです。ダンジョン型RPGなどでは、今でこそオートマッピング機能というのは当たり前の感がありますよね。僕なんかはテープ時代の古いゲームユーザーなので、当時のRPGといったら方眼紙に手動マッピングというのが基本で、むしろそれが醍醐味の1つだったわけです。ですが、時代が移り変わって、ゲーム市場がそういった一部のコアユーザーだけのものではなくなり、よりプレイアビリティの向上がニーズとして上がってくる。オートマッピングなんてそのいい例だと思うんですね。

 

――マルチストーリー型のゲームとしては初めての試みですね。

 

マルチストーリー型のゲームといったら、ゲームブックあたりがブームの火付け役になったのかもしれません。その後、これをコンシューマ機上で巧く表現したチュンソフトさんのサウンドノベルがマルチの代名詞にもなって、「弟切草」なんてぼくもかなりハマった覚えがあります。ただ、このシステムの持つ奥行きや広がり、可能性というものに僕個人期待する部分も多かった反面、同系列の模倣ソフトが大量に出回っていて食傷気味にもなっていました。何かもっと新しいものはないかなと、その時から漠然と思っていたんです。僕がマルチストーリー型ゲームをプレイするときは、選択肢や行動をメモにとっておいて、次はこの行動、次はこれ、という感じに何度も同じことをやらないよう攻略していくんです。ただ、これがまた面倒くさい。昔からのゲームユーザーであれば「いやこれが面白いんじゃないか」という人もいるでしょうが、僕はもはやそういう感性じゃなかったと(笑)

 

――今は大半の人がそうだと思いますよ(笑)

 

人間が面倒と思う部分を機械にやらせるのが工学の基本発想で、こんなことはコンピュータにやらせればいいじゃないかと、その時に思いました。だいたいRPGにあるオートマッピングが、なぜこのジャンルにはないんだよう、というオヤジ臭い発想がきっかけといえばきっかけですね。

 

――そうすると、[A.D.M.S]はオートマッピング機能が最初の目的だったわけですね。

 

ええ。ですが、ただマッピング機能を盛り込むだけじゃつまらない。どうしようというときに、常々考えていた「神の視点への疑問」というのが、ふと頭をよぎりました。これはどういうことかというと、RPGなどのマッピングは誰が行っているんだろうという疑問なんです。RPGというのは直訳すれば「役割を演じる」ということで、ゲーム中のプレイヤーは主人公そのものであるわけです。であれば、あのマップはゲーム中の主人公が作成しているのかな? でもそんなそぶりは全くないし、あれおかしいぞと。そう思いませんか?

 

――打開する方法が見いだせなかったせいでしょうね。

 

プレイヤーは神の視点でゲームを見ている部分が、少なからずあるんです。たとえ「ロールプレイング」を標榜してもね。ぶっちゃけていうと、これらはみんなゲーム上のお約束のことです。プレイヤーはアプリオリ(先験的に)に納得しちゃってるんですよ。で、僕はこれに対して一家言あった。そこで「並列世界」という設定なんです。従来のマルチでいうストーリーの分岐は、異なる世界への分岐であるという発想がこの時浮かびました。主人公は「リフレクター・デバイス」と呼ばれる並列世界探索装置を持っていて、これには自分の現在位置を確認できる機能がある。そうして自分の位置をマップ上で確認しながら様々な分岐世界をさまようと。

 

――不確定性原理を超越した世界ですね、それは。

 

しかし、ただ並列世界をさまようだけじゃ、まだつまらないなと。僕はワガママなんです(笑)。生み出された分岐世界1つ1つに意味がなくては面白くない。それぞれの世界には異なった情報やアイテムがあり、それらが別の分岐世界で役立つという方が、よりロールプレイングに近づくんじゃないかと思いました。以前僕は、1つの物語を別々の角度(複数の主人公視点)から見るという、いわば舞台裏秘話的なシステムを考案しました。で、こいつも応用できるぞと(笑)。

 

――「YU-NO」にはどんな風に盛り込むのですか?

 

たとえばゲーム中、落雷というイベントが起きたとします。その場に主人公がいれば、当然その落雷を目の当たりにします。しかし落雷現場に行かなければ「さっき落雷が合ったよ」と人づてに聞いたりするんです。こうして主人公の行動や選択により、ちょっとずつ世界が移り変わっていきます。ですからラストの方なんて、全く違う世界がいくつも発生しているんですよ。ほんの少し打つ方向を変えただけで、200ヤード先のボールの位置が、何十ヤードもずれたりするゴルフのようなもんですね。様々な並列世界を巡っていくうちに、少しずつ、背後に隠された巨大な真実が明らかにされていく、そんな風にゲームデザインを設計しました。こうして現在の[A.D.M.S]のひな型ができあがったんです。

 

――「YU-NO」では、世界構造を認識する場合にある程度の知識(物理学などの)があるほうが、より楽しみが大きいと思います。コンシューマ機であるサターンで出す場合、平易なものになるのでしょうか?

 

かみくだいて言い換える部分は出てきましょうが、基本的なプロットを変更するつもりはありません。18歳以上推奨という枠は、「大人向けのシーン描写」のための必要なカテゴリーですが、それだけではないということです。
では、18歳以上の知識がどれだけ必要なのかというと、実はそんなにごたいそうなものは必要ありません(笑)。このゲームを楽しむのに、すべての設定やシナリオを、完全に理解する必要もないんです。ドライブを楽しむのに、車機構の完璧な知識が必要でしょうか。「YU-NO」は[A.D.M.S]というシステムにより、ゲームとしてよりストラテジック(戦略的)に、ストーリーとしてより奥深い作品に仕上がっています。18歳以上の方ならどなたでも、この作品を楽しむことができるでしょう。そして18歳未満のまだ若い方がプレイされたときは、作品中で語られるメッセージの意味を、いつかきっと知るときが来るはずです。

 

――PC版のストーリーには、カニバリズム(人食描写)や近親相姦など、社会的にタブーとされるショッキングな描写が少なくありませんでした。Hシーンなども含め、これらはサターン移植にあたって、どういった形になる予定なのでしょうか?

 

「YU-NO」という作品は、もとが18禁指定のゲームでしたので、いわゆる「大人向けのシーン描写」も含めて、表現の自由度はかなり高い作品でした。今回サターンへの移植にあたり、様々なセクションと協議を重ねました。特にセガさんにはこの作品の持つストーリー性やゲーム性、そしてそのコンセプトを十分に理解していただき、大変感謝しています。年齢制限という枠を否定的に受け止める方もいらっしゃるようですが、むしろこれで表現の幅が広がっていくと、肯定的にとらえてください。18歳以上推奨という枠内で、ストーリーの流れをできる限り損なわないよう、慎重に制作していきたいと思います。

 

――サターン版ならではの演出や表現に、どのようなものがありますか?

 

PC版では、そのハードウェアの制約上、演出の幅が広いというわけではありませんでした。サターンの持っているハードの機能というのは、比較的ベーシックなものが多いんですが、ゲーム専用機ならではのメリットもたくさんあります。単なるベタ移植にするつもりはありません。プラットフォームに応じた表現方法を模索していき、様々な演出を考えていきたいと思っています。

 

――CGのクオリティにも期待がかかりますが。

 

今回は、ストーリー上のエピソード追加に連動して、追加CGがかなり増える予定です。さらにクオリティの高いCGをご期待ください。

 

――最後に、ユーザーの皆さんへ一言お願いします。

 

「YU-NO]という作品は、「ゲームとしての楽しさ」をたっぷりと盛り込んだ意欲作になったと思います。プレイヤーはゲーム中の主人公と一体となり、とった行動や選択により様々な並列世界へと分岐していきます。一見同じに見える世界でも、それは別の世界かもしれません。普段と変わらない友人さえ、違う人間なのかもしれないのです。様々な情報やアイテムを集め、数々の謎を解き、本来自分のいるべき世界を探し出してください。
YU-NOというのは、ある女の子の名前です。彼女はいったいどこにいるのか……彼女を探し出すのも、プレイヤーの目的の1つとなるでしょう。そして彼女と出会ったとき、真の目的が提示されるかもしれません。
それをユーザーの皆さんの目で確認してください。

 

おしまい

「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(©elf)
「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(©elf)

第4回(「AIR」「CLANNAD」「planetarian ~ちいさなほしのゆめ~」などの音楽担当の戸越まごめさん

 

「戸越まごめさんの音楽について」

 

 

「AIR」(©key)
「AIR」(©key)

戸越まごめ(とごし まごめ)さんとは。

ゲームブランドKeyに所属し、「AIR」や「CLANNAD」など、同社のゲーム作品のBGMや主題歌を手掛ける他、麻枝准の楽曲の編曲を数多く担当していた。 2006年10月をもってkeyを自己都合退社した。(wikiより)。ブログ:(http://magome.cocolog-nifty.com/

 

インタビュー・文:川上竜之介(2012年10月)

 

――戸越まごめさんの名前の由来を教えてください。

 

学生時代に東京都品川区の中延という所に住んでいた事があり、都心に出る時などに都営浅草線の中延駅を使っていたのですが、そこで見た駅名看板から取りました。

 

――学生時代は、どのような活動(音楽)を行っていましたか?

 

中学・高校時代は吹奏楽部に所属しパーカッションを担当していました。
大学時代はジャズ・フュージョンの部活動に入り、バンドを組んでドラムを叩いていて、ちなみにこの時ベースを担当していたのが Kanon の BGM を一部手がけたOdiakeS さんでした。

 

――作曲家になったいきさつを教えてください。

 

作曲家と思った事は一度もなくて、サウンドクリエイターというか、音楽や効果音・ボイスといった、ゲームの演出としての音に関する部分を受け持つ、という感じで仕事をしてました。

 

――作曲や編曲の作業工程を教えてください。
――使用機種やソフトは何でしょうか?

 

使用ソフトですが、Key にいた頃シーケンサは主に PC-9801 DOS版のレコンポーザを使っていました。
今は Cubase をメインに使ってます。

機材については Key に入って私専用として支給されたのは Roland XP-30 とAKAI S2000 だけだったので、元々持っていた Roland SC-88Pro、YAMAHA MU128、KORG NS5R などをさらに組み合わせ、アナログミキサーの YAMAHA MX12/4 に全部立ち上げ、レコンポーザで MIDI シーケンスを走らせて、そのまま DAT に録音する、というシンプルな方法で作ってます。

AIR では fostex D-160 という 16trk のハードディスク MTR に一旦録音した後、
さらに各種エフェクタを使いつつ YAMAHA O2R というデジタルミキサーでトラックダウンを行なっています。

CLANNAD 以降は DAW が発達してきたので、今の DTM の手法とほぼ同じです。

ゲームの音楽は雰囲気を最も重視するので、まずは音色を選ぶ作業から始めてます。
イメージに合う音色が見つかれば、それを鍵盤を弾いているうちに、どういう曲にするか段々と固まってくるので、あとはそれを具体化する、という作業をするだけ。
メロディはバッキングトラックを作りながら並行して作る事が多いです。

ただし、歌ものは例外で、メロディと曲の構成を先に作ってしまいます。
どれだけ機材が発達しても、仮に生楽器やオーケストラを使った豪華なアレンジをしたとしても、メロディが良くなければ台無しですからね。

 

――ご自身が影響を受けた曲や好きなミュージシャンを教えてください。

 

T-SQUARECASIOPEA をはじめとする日本のフュージョンや、David Foster 氏の音楽はよく聴いていたので影響を受けていると思います。
アニメやゲームが好きになってからも、サウンド全体を意識して曲を聴いていたので、米光亮さん、元LOOK山本はるきちさん、川井憲次さんといった方が編曲にクレジットされていると、それを理由にCDを買ったりしていた頃がありました。

 

ゲーム音楽では1980年代後半~1990年代前半のアーケードゲーム、例えばA-JAXとかギャラクシーフォースとかドラゴンセイバーなど、FM音源とサンプリング音源の組み合わせで作られているものがとても好きです。

 

――ご自身の曲を聴くにあたって、この曲やCDを聴いておくとよりいっそう楽しめるというものはありますか?

 

挙げればきりがないですが、ひとまず3つ。

・David Foster が1986年に初めて出したアルバム「David Foster」
PSY・Sの1988年のアルバム「Non-Fiction」
・PC-Engine版YsIVのBGMをアレンジしたアルバム「パーフェクトコレクション YsIV」

 

――デビュー作の曲の思い出をおきかせください。

 

機材の少なさには苦労させられました。
前出のとおりMTRがなかったので、同時にいろんなパートを鳴らさなければならないのですが、ハードウェア処理の関係で音が切れてしまったり、発音にずれが生じたりというのは日常茶飯事でした。
逆にそれらを MIDI データの中でやりくりできる力のある人しか、良いサウンドは作れなかった、そんな時代でしたね。

 

――「AIR」「CLANNAD」「planetarian ~ちいさなほしのゆめ~」「智代アフター ~It's a Wonderful Life~」「リトルバスターズ!」の曲は、どのようなコンセプトで作曲されましたか? 
――楽器の選定や、おすすめの曲や、苦労した部分などありますか?

 

大体どの作品も制作手法としては大きく2とおりあって、
1つは現在あるシナリオやイラストから自由に想像して書いておくパターン。
もう1つはシナリオさんなどから曲調が指定されていて、それに当てはめていくパターン。一般的には後者がメインです。
苦労点といえば、それはもうリテイク以外ない。
特に麻枝さんは頭の中で曲のイメージがある程度決まっているので、それに少しでも近づけるためにリテイクが多く、制作はかなり大変でした。
その分、ゲームとして完成した状態で聴くとバッチリはまっているんで、かなり気持ちいいんですよね。

 

――「AIR」から、「回想録」「虹」「てんとう虫」「伝承」「双星」「理」「夜想」「Farewell Song」は、どのようにして作られましたか?(よろしければ曲の解説をお願いします)

 

曲の解説はサウンドトラックCDに書いてあるので省略しますが、1つだけ。

「てんとう虫」が「Firecracker のパクリだ」と当時ネットでよく言われてて、
それは想定どおりなんですが、「曲の入りがBehind the maskまんまだ」っていうツッコミはほとんど無かったのが意外だったなと。

 

――「CLANNAD」から、「汐」「幻想」「Etude pours les petites supercordes」「は~りぃすたーふぃっしゅ」「彼女の本気」「田舎小径」「有意義な時間の過ごし方」「存在」「TOE」「空に光る」「-影二つ-」「夏時間」「幻想II」「Ana」は、どのようにして作られましたか?(よろしければ曲の解説をお願いします)
――「CLANNAD」に関して、思い入れのある曲について教えてください。

 

すみません、あまりよく覚えてないです。

 

アニメのCLANNADで「空に光る」がBGMに使われていた場所があったんですが、
後半の盛り上がった部分を苦労して継ぎ接ぎされていて、しまったと思いました。
そもそもゲーム中でも盛り上がる前と後で別音源としてループできるように作っておけば良かったんですよね。
後悔してます。

 

――「planetarian ~ちいさなほしのゆめ~」から、「雨とロボット」「Gentle Jena」「全き人」「星めぐりの歌」は、どのようにして作られましたか?

 

planetarian の曲は当初 Windows 標準の MIDI デバイスで鳴るソフトウェアの音源で鳴らす事を想定して作られました。
なので、世の中には出まわっていませんが、SC-55などの GM 音源単体だけで鳴る MIDI 版の BGM データが存在します。
しかしそのデータも今となっては無用の長物ですね。
# 周知の事実であればすみません。

 

――「智代アフター ~It's a Wonderful Life~」に関して、思い入れのある曲について教えてください。

 

智代は私が作曲したBGMよりも「Life is like a Melody」1曲にかけた時間の方が長かったんではなかろうか、というくらい「Life is like a Melody」に力が入っています。
麻枝さんの旋律やLiaさんの歌声の素晴らしさをうまく引き立てられていれば良いのですが。

 

――某雑誌の「AIR」サウンドCDの付録に「決意~Ryuya~」という曲があるなど、未使用曲が結構ありますが、未使用になった理由はなぜでしょうか?

 

すみません、そんなタイトルがつけられているとは初めて知りました。
未使用になるというのは、使い所がない、または使っていた場所がカットされたので未使用となった、という事なので、そんなに深い理由はあまりないかと思います。

 

――「存在」って、尾崎豊さんの曲からでしょうか? 芳野祐介さんのモデルは尾崎さんでしょうか? 尾崎豊さんの曲で好きなのはありますか?

 

私自身はあまり尾崎豊さんの曲に影響を受けていません。
なのであまりよく分からないです。すみません。

 

――ブランド(ソフトハウス)時代の感想や思い出を教えてください。

 

色々きりがないですが、よく覚えているのはAIR発売日の2000年9月8日の事。
秋葉原では0時販売を行うショップが多くありまして、その様子を社長やいたるさん折戸さん他のスタッフと見に行ったんですが、メッセサンオーから末広町交差点までずっと列が伸びてて。
苦労が報われたというよりは、私達はとんでもない物を作ってしまったんではなかろうか、という事をここで実感しました。

 

――読者の皆様に一言お願いいたします。

 

今は諸事情あって美少女ゲームの世界から一歩引いたポジションにいますが、身体に無理のない範囲で、超スローペースですが活動は続けて行きたいと思っていますので、何かの機会で見かけた時は「ああ、戸越まごめ、昔こんなやついたな」
と思っていただければ幸いと存じます。
http://twitter.com/togoshimagome

 

おしまい

番外編(「AIR」「CLANNAD」などのグラフィック担当のNa-Gaさん)

 

「ルーツとグラフィック」について

湯上りに一杯&一服(©Na-Ga)
湯上りに一杯&一服(©Na-Ga)

Na-Ga(なが)さんとは。

ゲーム原画家。グラフィッカー。Key所属。広島県生まれ。

専門学校からソフトハウスへ。担当作品は、「AIR」「CLANNAD」「リトルバスターズ!」「Angel Beats!」など。(wikiより)。HP:(http://www.hcn.zaq.ne.jp/dna/

 

インタビュー・文:川上竜之介(2002年1月)

 

――イラストを描かれるようになったきっかけを教えてください。

 

中学生時代に、好きなキャラの模写を割としていたんですがそのうち自分のキャラを描いてみたいと思ったのがキッカケだったと思います。
でも必ず一人はいると言われている絵の上手いクラスメイトには到底敵いませんでしたが(笑)
今でも絶対敵わないと思う人達や尊敬する方々は大勢いらっしゃいますが、それでも自分にしかだせない味もあると信じて精進しています(汗)

 

――雑誌投稿や、同人活動などは、されていましたか?

 

雑誌投稿は高校生の頃に、当時毎月購入していたアニメ誌に何度かしていました。
イラスト系ではなくパロディというかネタでしたが…(汗)
それでも初めて掲載された時の事は今でもよく覚えています。
いつもの誌面に自分の描いた絵が載っているのは、なかなか感動モノでしたから。
同人活動は最近急におもいたって何度か頑張っています。
自分を表現するには実に最適ではなかろうか…と単純に思いまして…。
それと同じ理由でHPも作ってみたりもしています。
 
――好きだった漫画や、アニメ(音楽・映画でも)のことを教えてください。

 

そうですね…大きく移り変わった節はないかと思います。以前から冒険活劇、頑張る男のコ女のコ、戦う女のコ、ライトファンタジー、そしてイカすオヤジキャラ、と言ったキーワードには弱いです。
後は勢いのある熱いノリなんかも大好きです。
あと漫画やゲーム、その他何でもそうですが、面白そうと思ったら即買ったりする事も多いです。
…ただの衝動買いとも言いますが…(汗)

 

――初めてご自身の描かれた絵を、誰かに褒められたのはいつでしたか?
――逆に、きびしい評価を受けたことはありましたか?

 

キライじゃないですっていうちょっと曖昧な評価はわりと聞きます(笑)
厳しい評価も以前から何度もうけていますが、その時にはよく「今の自分にはこれが精一杯…」とか呟いた後に、
客観的に何がダメなのかを検討しつつ時間をかけながら…開き直っていきます(汗)

 

――高校生活以後の進路、生活について、教えてください。

 

その頃は大学に行くつもりはなく、アニメの専門学校に行く事だけを考えてました。アニメーター志望でしたので。
大学で勉強したいような事は特になく、ならば早く社会に出て働きたいがアニメの制作に関する知識も技術も何も知らないので先ずは、と思っての行動だったと思います。
その辺りいまいち煮え切らない部分もありますが…。
ですが専門学校に入った後、暫くしていくつかのコンシューマで元がパソコンゲームのものをPLAYさせてもらったんですが、自分としては様々な衝撃があったワケです。
初めてそこで自分も面白いゲーム制作に携わってみたいというのと、モニター上でも絵というものは表現出来るじゃないか、と強烈に思ったんです。
パソコンに関しては、当時これまたなんの知識もなかったのですが(幾つかのメジャータイトルを雑誌等で知っている程度)何とかバイトをしてMSXを買い、付属のお絵描きソフトでちまちまとドットで絵を描いてるうちに、これだ! と。
急な進路変更でしたが、自分は今、岐路に立っていると実感していましたので、あるソフトハウスから内定通知がきた時は本当に嬉しかったです。
専門学校に行ったのもこんなカンジで考える時間を無意識に欲していたんじゃないかと良いように解釈した事もありました(笑)

 

――パソコンゲームや、CGには、いつ頃から興味を持ち始めたのでしょうか?
――どのような部分に、魅力を感じられたのだと思いますか。

 

パソコンやCGに触れ始めたいきさつは上記のようなカンジですね。その後、あまりにも自分はグラフィックツールに慣れていないと感じたのでPC98を買い、そこでまたMSXよりも細かいドットに驚愕してました(笑)
今は多色環境が当たり前になっていますが、以前の16色環境等ではいかにして限られたパレット数でこの絵を表現するか、というトコロに情熱をそそいでいました。それでもデジタル8色等での凄い上手な絵をみて、かなりショックを受けていましたが…。
余談ですが、水彩で色を塗っていた頃はよく失敗していたので、グラフィックツールでのUNDO機能を知った時は、これは凄い! と単純に思いました(笑)

 

――絵の勉強は、どういったことを行っていましたか?

 

普段から自分は大した絵は描けないと感じていたので、ひたすら自分が納得するまで描きつづけるしかないなぁ…とか思っていました。いまもそんなノリですが。
後は人体の仕組み等の本を買ってきて筋肉のつき方等を参考にしてましたが…いまではすっかり忘れてます(汗)
 
――絵を描くことを職業にしたいと思われたのは、いつごろでしたか?

 

絵を描くのは好きでしたが話を考えたりまとめたりが出来なかったので、じゃあ何かないかと考えたら動画なら、と単純に思ったわけです。
それでも自分で考えて描かなくてはいけない部分は沢山あるのですが、一番苦手な話の部分を考えなくて済む、と。
あと自分の描いた動画がTVで流されるかと思うとかなりワクワクしていたので。
それがアニメーターを目指した最初の動機だったと思います。
そして専門学校での事でCG関係に進みたい、になりました。まさに劇的な出会いでした(笑)

 

――Na-Gaさんの描かれるイラストは、あたたかくて本当に素敵だと思うのですけれども、イラストを描かれる時に意識されていることはありますか?

 

えーと、恐縮です(^^;)

16色時代ではアニメ塗り(色の境目がはっきりしているあれです)をメインにしていたので、その反動がいまきているかのようにブラシを多用してたりします。
アニメ塗りも好きなので気がむけばいきなりすると思います。
こだわっている個所は特になく、勢いでやっちゃう事が多いのですが、もっと色使いは上手になりたいとは常に思って色々試していますが…これがなかなか…(泣)

 

――絵を描くにあたって影響をうけた人物や作品はありますか?

 

ありすぎてこまる位です(^^;)
描き始めはよく宮崎駿氏のキャラを描いていた記憶があります。
今でも本屋などで知らない方の漫画でも「いいな」と思ったら買って帰ります。

 

――Na-Gaさんの使用されている画材を教えてください。

 

OSはWINDOWSで、フォトショップ5.0を愛用しています。
ペインターも購入したいとは思いつつもなかなか資金が溜まらなくて…。
あとは0.3ミリのシャーペンとA4のコピー用紙ですね。どうもペン入れは苦手なのでほとんどしません。

 

――イラストを描かれる作業過程を、お聞かせください。

 

紙にラフを描く→清書→スキャナで取りこみ(大抵100-144dpiです)→ごみとり&修正→着色…といったカンジでしょうか。
それぞれの間に「悩む」というモノも隠れていたりしますが(笑)

 

――裏技とかはありますか?

 

そうですね…着色時に、たまにですが左右反転などをしておかしなラインを引いてないか確認したりはします。
デッサンの時に裏から透かしてみるアレと同じですね…って裏技でもなんでもないですね…。

 

――Na-Gaさんの目指す作品、作風、世界観、をよろしければ、お聞かせ願いたいのですが。

 

なんとなくそこら辺の日常ってものを描ける様になりたいとは常に思ってます。
 
――今後の夢や、目標、抱負などをお聞きしたいのですが。

 

後どれだけ続ける事が出来るかはわかりませんが、グラフィックに関係する仕事は続けていきたいとは思います。
他には自分のHPの更新速度を上げる事、でしょうか…(かなり遅いので…汗)…頑張ります。

 

――Na-Gaさんの現在、好んでいるエンタテイメントや、趣味のことを語ってください。

 

今年こそたまりまくったライトファンタジー系の小説を全て読破したいと思います。あとやりかけのゲーム等も。
シリーズものなど、クリア前に次のが出たりしてしまうので…。

 

おしまい

番外編(「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」の音楽担当の梅本竜さん)

 

「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」の音楽について

「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(©elf)
「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(©elf)

梅本 竜(うめもとりゅう)さんとは。

ゲームミュージックの作曲家。神奈川県横浜市出身。

FM音源を使いこなし、特にPC-9801シリーズにおける事実上の標準音源であったOPN系のYM2203やYM2608、X68000シリーズにおける標準音源であったOPM系のYM2151を得意としている。ゲームクリエイターの菅野ひろゆきとタッグを組んで制作された「DESIRE 背徳の螺旋」「EVE burst error」「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」は、数度に渡ってサウンドトラックCDが再発売されたり、ゲームが発売してから十年以上も経て、新たなアレンジを加えたCDがリリースされている(wikiより)。

 

インタビュー・文:川上竜之介(2002年1月)

 

――「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」の喫茶店で、月の光が流れてたのはなぜですか?

 

YU-NOの喫茶店はドビュッシーの月の光…だったような気がしますが、実は全然クラシックって知らなかったりします。(理論は知ってるんですが…)
菅野さんはああみえても飲み屋さんで流し(BGM)のアルバイトをしてたほどピアノが達者なんです。

つまり流れ的には、
「クラシックで権利切れたやつとか一曲くらい入れてみませんか?」
「いいですけど…FM音源でやるんすか?」
「ピアノ曲とかだったらいいと思うんですけど」
「曲名とか作者言われてもちょっと判らないんでCDとか持ってます?」
「これこれ」
「ああ、これよくどこかで流れてるやつっすね?」
「これなら簡単でしょ」
「んーまあ取り合えず曲自体は知ってるし、ちょっとやってみます」
のような感じ。
軽く引き受けたんですけど、人間が鍵盤を叩くようなあいまいなタイミング再現するのとか、FMアルペジオやるのが地獄のように大変でした。(笑)
音楽ってつまるところ、音色は熱力学や流体力学(空気の振動ですからね)、旋律は数学的(フラクタル理論+カオス理論÷2、のような感じ)ですから、工学系の人とは案外相性がいいのかもな?、と考えると案外意外でもないような気がするから不思議ですね。(認知心理学方面はどうか判りませんが…)

 

――YUNO_41.13.25.39が(特に41は、夜の街や高台から見た風景と合っていて)好きです。
――この曲を作られた時はどのような心境でしたか?

 

元にデータが無いのでどれがどの曲だったかというのが確かではないんですが、41は本編移動曲の夜版、13がプロローグのハイライト(龍造寺とのやり取り)、25が武田先生シナリオの解決手前。
平行世界になってからの移動曲は確か39だったと思いますが、これはイントロの中東のシタールをイメージしたフレーズからも解るように「真夏のギラギラ+不思議な世界+ある種の決意+目標までの遠い道のり」みたいな意味が含まれています。
これに対して41は「ギラギラ」「決意」だけを削って、代わりに「ギラギラが蒸発した後の風による涼しさ」「人の居ない広さの中に見える明かり」のような意味を刺し込んだつもりです。
当時は動機を言語化する事が出来なかったとか音楽理論を知らなかった分、直感が鋭かったですね。
13は、ある種の音色の時間的変化コマンドを実験する為に作ったような感じだったと思います。殆ど勢いですね。
近付いてくるような感じに仕上がるのは私のクセで、イントロは広いハーモニー感やエコーエフェクトから入る事が多いので、本体はそういう事をあまり意識しないで作る為相対的に近い距離に感じるような構成になる、というところです。
相手が「悪の枢軸」ですから(笑)、音色はドロドロとしたイメージのものをドロドロとした旋律で流しています。
25も同じようなクセが出ていますが、こちらは音色にキレの良い物を使って「よっ待ってました!」という感じに仕上げています。(勿論当時は理屈じゃなく直感です)
13と25のベース(低い音程で鳴ってる音色)を聞き比べると解り易いと思います。

 

――「EVE burst error」って、どのような意味なんでしょうか?

 

burstが「大いなる」で、errorが「あやまち」だったと思います。

 

――「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」の登場人物の苗字が戦国武将と同じだったのはなぜでしょうか?

 

菅野さんはキャラクターの名前を考えるのがとても苦手らしいので、武将の苗字も苦肉の策だったんだと思いますよ。実際そう言ってましたし。(コナミポリスノーツもそんな感じでしたね)

本は床がひしゃげる程読んでたそうです。
(狭い部屋に電子ピアノ置いてたのも要因かとは思いますが)

 

――創造物のルーツになったのは何でしょうか?

 

中学生の頃、PC‐8801というNECのパソコンでは色々なデモやゲームが出ていました。

 元々はファミコン小僧だったのでゲームと言えばファミコンばかりでしたが、小学校6年生くらいの時、知り合いの家でパソコンのゲームを見た時かなりの衝撃を受けました。

 繊細なグラフィック、綺麗なFM音源の音。

 父は元々工学系だったのでパソコン購入には抵抗も無く、名義だけ借りて男の64回払いでPC-8801FRを買う事に。

 ファミコンの頃一度だけファミリーベーシックで試しに任天堂のCMの曲(ファミリーベーシックの)を作ってみようと試みましたがどうしても納得のいく結果に終わらずそれっきりでした。その後、ふとした事から「パソコンのゲームはパソコンで作られてるんだよな…?」と思いつきます。

ファミコンのようなゲーム機で面白いものを見てもどこか他人事でした。

ファミコンでは作れないからです。

しかしパソコンのゲームが見せてくれる現象というのは、なんらかしらの方法で手元のパソコンで再現が可能…という事を示唆しています。作る環境も遊ぶ環境も同じだからですね。

これが大いなる第一歩だったように思います。

 

――上記の応用はどのようにして行われましたか?

 

私は意外にも音楽が好きでした。

アーティストの名前なんか聞いても全然解らない、楽器も弾かない、楽譜も読めない、一見音楽からかなり縁遠い単なるファミコン小僧であったはずなのに不思議なものです。

どちらかというと世間で言われている「音楽」、というより「自分が好きだったシーンや空間で鳴っていた音」が好きだったのかもしれません。鉄道が好きで夜行列車や新幹線や駅のアナウンスの前に流れる音楽を集めたり、好きなアニメやゲームのサントラを集めたり、好きなCMの音楽を録音したり。変にマニアックでしたが、小学生の頃でしたから恐らくそれらの音を「音楽」というメディアとして認識していたかどうかも怪しいところがあるのである意味納得です。

中学の頃から実際に作れるような環境が手元に来た訳ですが、父の会社はまだまだ不安定だった為、上記のような分割をしなくては買えないほど家は貧乏でした。

それが影響したのか、単に天邪鬼だったのか、はたまた両方なのかは判りませんが、とにかくあの頃「音楽家が嫌い」でした。

子供的な見方ですが、音楽家は「音楽というのは楽器が弾けたり楽譜が読めたりしてはじめてそれを楽しむ権利を得られる」というような顔をしているように見えたのです。確かに楽器を弾けるようになる、音楽を楽しめるようになるにはそれなりの努力が必要ですが、それらが出来る事を自慢されると子供はむかつくものです。(笑)

絶対それ以外の方法で作ってやる、音や音楽に対する知識が無くたって万人に楽しむ権利はあるという事を証明してやる、それにはコンピュータが最適だ、…とこういうコンボだったのでしょうか。感情的なものは思い出せるのですが、具体的にどうしてそうなったのかというのは覚えてません。

しかしそこが子供の悲しさ、「コンピュータが使えなくてはいけない(つまり万人は無理)」というところまで知恵が回らなかったようです。(笑)

しかし、今はマニアックで大人さえ使えない代物だがきっと誰もがパソコンを使うような日が来る、といった漠然とした予感があったのは覚えてます。

 

――仲間、出会い、ユーザーについて、見解を教えてください。

 

当時は草の根パソコン通信すら無い完全なスタンドアローン状態でした。

中学にはパソコン部(マイコン部)などという確立した団体も無かったですし、部活はテニス部だったのでもっぱら学校での数少ないパソコン仲間と話すのは休み時間や夜でした。

情報源というと当時メジャーだったマイコンベーシックマガジン。

その頃最もホットな話題は、音楽ページのライター「YK-2」なる人物はファルコムで音楽をやっている「古代祐三」なんじゃないか…という噂がたっていて、その情報を少しでも手に入れるべくライターの山下章さんのイベントなんかがある度に皆で出かけていきました。

当時ファルコムは飛ぶ鳥も落とす勢い、情報も極めて密閉性が高く次回作の情報が極めて重要なものとして扱われていたので、もし噂が本当なら当事者がイベントに参加しているという極めて稀な事態が起こっている、という事になります。

パソコン仲間は私も含めて3人でしたが、3人とも似たような事が好きだったので出かける時は毎回一緒でした。イベント…と言っても収容人数100人も居ませんから毎回顔を出せば顔を覚えられます。遠い時は岡山まで行った事もありますから「お客」というよりは殆ど「危険人物」です。(笑)

イベントの内容は山下氏が新作のレビューをしたり、裏技やキワモノプログラムの紹介をしたり、ゲーム大会をしたりというものでしたが、ちょっと変わったところで「イントロ当てクイズ」というのもありました。

勿論私達3人は「極度のマニア」だったので、ゲーム大会やイントロ当てクイズはお手のもの、毎回商品をごっそり持っていくのでその内「はいはい、君達は禁止ね?」と言われるほどに。(当然の結末ですわな…)

その内3人は卒業して学校がばらばらになってしまいましたが私だけは性懲りも無くイベントに出続け、その頃はデータ作成の腕もだいぶ上がっていたのでついに出題者側へ回る事となりました。

インサイダーになったらこっちのもの、古代氏を始め、ライターやメーカーの方達と話しまくり、色々な情報を集めて自分は業界でやっていけるかどうかを考えるようになります。

人間関係と行動範囲は広がり、そこから色んなサークルへ所属したり、関係者の薦めでコンテストに出場してみたりと充実した高校生活を満喫。この頃父との衝突が最も激しくなっていた時だったのでいっそのこと仕事を探してみようか…という事になり、丁度同じパソコン音楽サークルへ所属していた人の転職で席が空いたというのでそれを譲り受けました。

人間、思いつきで行動してもなんとかなるものです。(笑)

 

――二次創作物、ファンサイトについて、どのようにお考えになられていますか?

 

結果から見れば著作権法違反の場合もあるかもしれませんが、私は少なくとも著作権料が欲しくてやっている訳ではないですし、二次創作というのは「一種のリバースエンジニアリング」ですから役に立つなら(お上に見つからない程度に)どんどんやっていいんじゃないかと思います。

最近騒がれている特殊フォーマットCD(プロテクト)の容認と否認が分かれているように、私と同じ考え方の人も少なくないと考えられます。

否認派の意見は概ね「複製されると儲からなくなる」というところでしょうが、こちらとしては「儲からなくてもやる」という意思は明確。潤沢な市場でなければ次に続かない…つまり新人が出てくる余地が無くなるという意見もありますが、どの道儲けられる事を前提として出て来た人は長続きしません。(儲かろうが儲かるまいが大変なのは変わらないのですから)

流通やメーカーからは「飢え死にしてもいいのか」と言われるでしょうが、逆に言えば消費者に「飢え死にされたら困る」と思われるくらいを目指さないといけないのではないでしょうか。(笑)

飢え死にされたら困るぐらいに思われれば飢え死にしないくらいはめぐんでもらえるでしょうし、飢え死にする事があったらそれは「必要とされていない」という事です。これ以上判り易い回答はありません。

従って死を恐れる者には出来ません。

そして死を恐れない者は複製などを恐れる理由がありません。

皆、言葉にはしませんが二次創作を認める人はなんとなくそんな事を考えてるんじゃないかと思います。

 

――趣味はありますか?

 

趣味というのか判りませんが、放浪が好きです。

改めて旅行とかではなく、付近でも遠くでも自分の思う様に歩く事がいいのです。

(逆に旅行は予定を決めなくてはいけないのであんまり好きじゃありません)

人に道を聞いたり話をしたり、看板を見たり、乗り物に乗ったり、風景を見たり、飲食店で一服したり。

まるでRPGのようですが、RPGが好きだから放浪好きなのか、放浪好きだからRPGが好きなのか、それはどっちか解りません。(笑)

要するに冒険好きのやんちゃ坊主なんだと思います。

 

――読者さんに一言メッセージをお願いします。
 
重要なのは一流か三流かというところではなく、どれくらい人を共感させたか、どれくらい共感させられたか、というところです。
多勢に無勢とはよく言いますが、一人でも全て、1億人でも全て、百億人でも全てです。
いっぱいの人が浅く共感するのと、少ない人が深く共感するのと、そう大した違いはありません。どちらも供給する側としては名誉な事であり、供給される側は少なくない満足感を得られるという事です。
その満足はまたこちらの満足を産み、少しずつ大きくなっていつか大きな渦になります。
笑う角には福来たる。
しけた顔してるとそれを見た相手もしょぼくれてしまいますが、逆もまたしかりです。この事はEVEのエンディング付近で菅野さんも書いていましたが、全くその通りだと思いますよ。
私には少々それを音楽で表現するのは難しかった部分もありますが、特にこれといって否定的な感想も来なかったので、それなりに映像とシナリオとシンクロしたのだと思います。
菅野さんはいつも私を信用してくれて、書いたシナリオをデバッグバージョンに組み込んでいつも私にだけ先に見せてくれましたから、当然ながらそれくらいの事には答えなくてはいけないんですけどね^^;

 

おしまい 

第三回目(「聖地巡礼 アニメ・マンガ12ヶ所めぐり」の作者の柿崎俊道さん)

 

「聖地巡礼」について

「聖地巡礼 アニメ・マンガ12ヶ所めぐり」(©柿崎俊道)
「聖地巡礼 アニメ・マンガ12ヶ所めぐり」(©柿崎俊道)

柿崎 俊道(かきざきしゅんどう)さんとは。

聖地巡礼プロデューサー。フリーランス。

iPhoneなどのスマートフォンアプリ開発に関連する交渉事を引き受けたり、著書「聖地巡礼」から発生した仕事を請け負ったり、行政のお手伝いをしたり、各大学で講演をさせてもらったり、自分でも何をしているのかよくわからなくなっています(mixiより)。

著作に、「聖地巡礼 アニメ・マンガ12ヶ所めぐり」「Works of ゲド戦記」「Kirari 痛車コレクション」などがある。

ツイッター:(https://twitter.com/Syundow

 

インタビュー・文:川上竜之介(2012年8月)

 

――「聖地巡礼 アニメ・マンガ12ヶ所めぐり」が出版された経緯を教えてください。

2004年春頃に出版社より依頼がありました。
「聖地巡礼」というキーワードで取材をしてほしいというものです。
私自身、90年代末に『究極超人あ~る』の聖地巡礼をしていたものですから、
その経験もあり、仕事を受けました。
もちろん、『あ~る』の頃には、

アニメ・マンガの舞台を巡ることを「聖地巡礼」と呼ぶようになるとは知らず、
舞台を巡ろう、みたいな感じでした。

――それから、学生時代にミニコミ誌を作られていたそうですが、どのような物を作られていましたか?


取材記事や小説やアニメ、ゲームの紹介を書き連ねたような内容です。
内容云々というよりは、私は雑誌が作りたかったのです。
月刊ペースで出すこと、当時最新だったDTPを取り入れ、商業誌にどこまで迫れるか、で挑戦していました。
素人の勢いであり、予算は手弁当でなので、内容はお粗末なものですが
志だけは無駄に高かったのは覚えています。

――聖地巡礼について、いかが思われますか?

いいことだと思います。
巡礼をするファンも、迎え入れる町の人も、よくも悪くも刺激になって、
そこに新しい創造性が育まれるのではないでしょうか。 

 

――柿崎さんご自身の聖地巡礼の思い出をお聞かせください。

現地で出会った人々が忘れられません。
迷い込んだ庭先でお茶をごちそうになったり、
夜は地元の人々と飲みに行ったり、
お祭りに参加したり、と聖地巡礼の想い出は、見知らぬ土地で見知らぬ人と出会うことですね。

――最後に、読者さんに向けてメッセージをお願いします。

ファンも、地元も、制作者も、販売元も、聖地巡礼を自由に楽しんでいただければそれが一番です。

 

おしまい

 

第二回目(「イナカナかれっじ」の原作者の法田恵さん)

 

「イナカナかれっじ」のデザイン

「イナカナかれっじ」(©法田恵)
「イナカナかれっじ」(©法田恵)

法田 恵(ほったけい)さんとは。

千葉大学卒業。「PETITパンドラ」にてデビュー。「究極超人あ~る」から「機動警察パトレイバー」の完結まで、ゆうきまさみのアシスタントを勤める。著作に、「イナカナかれっじ(全6巻)」「女子大のオキテ(全3巻)」「HEROINES」などがある。鉄道模型の制作などは、小池れ〜し名義で行っている(wikiより)。

HP:(http://www.ecodacs2.nerima.tokyo.jp/rehsi/

 

インタビュー・文:川上竜之介(2012年8月)

 

――主人公(和樹)がギターを弾いていますよね。一芸入試で大学に受かってしまう実力ということで。

――ギターが弾けるというのはどうしてそういう設定にされたのですか?

――使っているギターやヘッドホンなどのモデルはありますか? 

 

ギターが弾ける設定は・・・何かしら特技があるといいよね、と担当編集さんと打ち合わせの時に出たアイディアだったような記憶があります。

ギターはPRSという、けっこうお高いメーカーのもののつもりで、なんでガキがそんなもの持ってるのかというのは疑問ではあるのですが、さて、どういうつもりだったのか。

最初は安いギターで 始めたけど熱中していいのが欲しくなって一所懸命バイトして入れ込んだ、そのくらいギターが好きっていうキャラにしたかったのかな。高校時代はそうだったのに受験失敗でダメ人間になったギャップとかなんとか。

 

ヘッドホンはあまり気にしてなかったかも。

 

――和樹のモデルはいますか? 

 

和樹のモデルは・・・特にいないかな。

 

――他の登場人物はどうでしょうか?(オカルト研のマミと優って、「魔法の天使クリィミーマミ」からでしょうか?)

 

・・・マミと優は多分そうです。
人名がなかなか思いつかなくて、適当に拝借してしまうこともあります。

 
――イナカナかれっじということで、風景は山と田んぼが多いですよね。

――上田がモデルだったということですが、町のデザインについてはどのように意識されていましたか?(終電とか電車は特に綺麗ですよね)

町のデザインですか・・・一応、連載前と連載中に何度か現地に行って写真を撮ってきて、勿論それそのまま使えることはまずないのでいじりますが、そこらへんはもう、「なんとなく」ですかねぇ。

無意識に、こういうのが良いだろうと全体の流れ、見開き画面の収まりなどでやってたんだと思います。

――和樹のシャツの柄のデザインが結構変わったり、農作業の時もパーカーだったり、帰省する時はオシャレな格好をしたりしますが、服装や靴などはどのように意識されていましたか? みづきはどうでしょうか?

ファッションは全くダメ人間ですので、もう記号として描いてただけでして情けない話ですが。

着たきり雀にはならないようちょろっと変えてたくらいです。

――女性のバリエーションが豊富ですよね。ロリっ娘からメガネっ娘や先輩や双子まで登場します。キャラクターはどのように決められていましたか?

 
キャラクターは打ち合わせで特に問題になることもなかったと思います。忘れたけど。バリエーションは、パッと見で読者が間違えないような区別をするためにいろいろ作ったつもりです。

人間の描きわけなんて私にゃ無理ですので、例えばツリ目と垂れ目、髪の毛の色がベタかトーンか白いままか、ロングかショートか、あとは物語の性格上主人公に絡みやすい設定にすること(性的に積極的みたいな~)ですかね。

――特に好きなデザインの物について教えてください。

――また、ご自身の描かれた漫画を読むにあたって、知っているとなお楽しめると思われる作品はございますか?

う~んこれは難しい、これだけは大好き、誰よりも詳しい、みたいなものはないです。オタク的にあまり濃いネタを物語の中に入れ込むのも自重気味だった気がします。先の答えのPRSがせいぜいというところで。
これはいいものだ、と主張することが押しつけがましくならないかと考えていたのかも。
物語を楽しむ手助けというのであれば、いわゆる聖地巡礼は良いものだと思います。現場の雰囲気、湿度光の具合などを感じることで物語に親近感を覚えるのではないでしょうか。

 

おしまい

 

第一回目(「ONE~輝く季節へ」の制作総指揮・音楽担当のYET11さん)

 

「14年目のONE」 (前編)

「ONE~輝く季節へ」(©ネクストン)
「ONE~輝く季節へ」(©ネクストン)

YET11(吉沢務)さんとは。

専門学校卒業後、1991年から1994年まで、受託ゲーム制作会社に勤務。SFC版「ラプラスの魔」等の移植を担当。その後、1994年からネクストンの外注、アルバイトを経て社員となる。担当は、音楽・ディレクションなど。代表作は、「MOON.」「ONE~輝く季節へ」「鈴がうたう日」など(wikiより)。HP:(http://pulsenotes.org/

 

インタビュー・文:川上竜之介(2012年6月)

 

――ONE」は、5回ぐらい泣きました。
――もう14年も経つんですね。
――今でも好きです。

 

笑いあり涙ありのすばらしい作品だったと僕も自負しています^^
懐かしいですねー・・・
当時、会社の方針はシナリオは片手間でやれというものでした。

その会社に反発して社長に自分の意見をねじ込んでメンバーを集め、
プログラマは他の部署、背景は外注でしたが、
初めて開発メンバーらしいメンツを揃えることができたことで、
僕はすごく感動した開発でした。
その後のあれこれ(?)でもすごく思い出深いですがw

 

――雑誌の体験版でプレイして面白くて買ったのですが、まさか、ああいう展開になるなんて想像もしてなかったです。
――明るいギャグの学園モノだと思って買ったので。

 

若いライターさんだと奇をてらい過ぎる傾向があるんですが、彼らは違いましたね。
ちゃんと一般的な展開を最初に踏まえた上でその先の期待を裏切ったり、
更にはフェイントを入れたりして、最後にやっと期待通りの展開になる・・・みたいな。
言うのは簡単だけど、それを実現実装できちゃうライターが2人もいたなんて
今考えるとそうそうありえないことでしたね^^;

 

――今もゲームや音楽を作られていますか?

 

すみません、ここ10年ほど業界から離れていました・・・というか今もですが
去年あたりから曲作りを再開しました。そして今年は、同人ソフトの製作に
参加しています・・・と言っても開発メンバーはプロの人ばっかりですがw

http://project101.exblog.jp/

まだまだこれからですが、ここで情報が更新されていくので是非ご期待ください!

 

――それから、関係ないですが、国枝学さんや蛭田昌人さんって今何をやられてるのでしょうか?
――昔のELFも好きなのですが、まったく情報がないのです……。

 

ELFさんは関東ということもあって面識のある人がまったくいないですねー
情報によると蛭田さんは引退されたそうですね
国枝さんは2000年代はおろか1990年代後半にも発表された作品がないですね・・・

しかし、ELFさんは本当にすごいゲームメーカーだと僕も思います
エロゲはそもそもただのエロ本みたいなものでゲームなんて二の次なのが当たり前
だったイメージを、払拭したのはまさにELFさんの功績でしょうね。
あー、この辺の話をしたら長くなりそうw

ともあれ、僕の今後の活動にも興味を持ってもらえれば幸いです。

 

――シナリオは片手間でという時代に、YET11さんは凄かったのですね。時代を先取りしていましたね(^^)

 

時代!?い・・・いやそれはちょっと大げさかなw
既にELFさん、当時は特にLEAFさんが質の高いシナリオのゲームを発表されていた時期ですし^^;

N社の社長はその昔、インベーダゲーム時代(ゲームセンターが存在せず、喫茶店にしかTVゲームがない時代)にその流通関係で大儲けした人で、エロゲに興味がある人でもなかったので、多少時代遅れな考え方だったのも仕方ないっちゃ仕方ないです。今ではその人がソフ倫の会長ですがw

でも、僕が当時のN社の体質を変えることにある程度成功し、会社の発展に多少なり貢献できたのではないかなーとは思っています^^

 

――「ONE」をやって「MOON」もプレイしたのですが、シナリオも絵も素敵で、特に音楽が好きでした。テクノ風でしたので、部屋や車で音楽CDにして鳴らしていました。
――折戸さんやM.Sさんやいしさんなど、奇跡のようなメンバーがどうしてあの時代に集まったのか気になります。

 

1990年代前半はまだインターネットが普及していなくて、パソコン通信で同志に出会うことが多かったんです。あの頃の僕の音楽系の知り合いはほとんどUnisonBBSという、折戸くん(Leaf?)が運営していたBBS・・・今でいうウェブサイトみたいなもので知り合った仲間なのです。
でも、後々そこのメンバーのほとんどが業界で活躍しているというのは、確かにすごい事ですね。

 

――麻枝さんはアリスに受かっていたけど蹴ったそうで……。

 

らしいですねー。それは、彼が会社を辞めた後に知りましたw

 

――絵も音楽も最高に良かったです。
――個人的に、YET11さんの曲が好きです。

 

ありがとうございます^^
親バカみたいな話ですが、僕も自分の曲、ヘタクソな部分も含めて大好きだったりしますw
・・・バカですねw

 

――麻枝さんも音楽をやっていますね。
――タクティクス時代から、音楽作れますっていう方だったのでしょうか?

 

学生時代に趣味で音楽をやっていたことは本人から聞いていました。
MOON. の製作中、音楽もやってみたいというので、彼のパソコンに音楽の制作環境もインストールを許可しました。

彼の曲は、MOON. に1曲収録されていますね。
あの曲、最初はピアノソロにしてはアルペジオもなく、リズムがわかりにくいものだったので、それを改良してみてはと僕がアドバイスしたことを覚えています。彼は素直にそれを聞き入れてくれたようで、ピアノだけだった曲にハイハットの音を追加して、リズム感を補ったみたいですね。

 

――サイト拝見させていただきました。絵から何からプロだなと思いました。
――楽しみにしています。ご復帰、おめでとうございます。

 

ありがとうございます。できることからコツコツと!がんばりたいと思います^^

 

――「ONE」は確か、麻枝さんが企画だったような気がするのですが、最初、企画を見た時どうでしたか?
――YET11さんは、リテイクとかご意見とかだされましたか?

 

そうですね。MOON. も、ONEも麻枝くんの構想です。
リテイクとか出したことないですねw
すごくおおまかな提案はしました。

例えば、リーフさんみたいに、ダーク系とライト系の作品を交互に発表することで、後々いろんなゲームを出すかもしれないソフトハウスとして期待してもらえるんじゃないか。とか。残念なことに、彼らには、トゥーハートみたいなのを作れ。ぐらいの話にしか受け取ってもらえなかったみたいですが^^;

それと、MOON. の製作中に、ずっと深く暗い場所が続いた後にお花畑があったゲームの話をして、そういうのは視覚的にすごくメリハリがあっていいよね。という話をしました・・・・そしたら、何やらそのまま実装されていて驚きましたがw

企画書に関してですが・・・実はそれも書かせたことはないですw

企画担当ということで大まかなあらすじ、プロットをまず書きだして欲しいと麻枝くんに伝えましたが、ちゃんとやってもらえたことはないです^^;
更に奴は・・・もといw麻枝くんはスクリプトが完成するまで見せたくない。なんて言い出してちょっと困ったりしましたw

でも正直なところ、プロット無しでも構わないと、僕は思っていました。
当時のN会にゲーム作りのノウハウがさほどある訳でもなく、少人数で、しかも製作期間は半年です。
(そもそもエロゲ製作から撤退したがっていた社長を説得して、人事も僕に任せてもらう代わりに、少人数で半年ペースで作品を発表することを約束することで設立されたのがTacticsなんです。)

つまりそれは、シナリオ、原画、音楽、どれもが任せっきりの丸投げ仕事をしてもらうしかないという状況なんです。
何と言っても、ライターの2人には最初からスクリプトを書いてもらっていましたからw
まさに丸投げ仕事です^^;
そりゃー企画書なんて存在しない訳ですw

実はこのやり方にもメリットはあって、企画書よりも具体的に、しかも素早く他のスタッフが作品イメージを把握することができるんです。もしかしたら、このやり方は初期のkeyでも受け継がれていたかもしれないですね。

ただ・・・デメリットはライターさんの負担が大きすぎるということですね^^;
あと、今思えばゲーム製作の根幹を、入社して間もない人に任せてしまうというのはいろんな危険性をはらんでいたのかもしれないですね。
でもまー、たいした実績もないのに守りに入るなんてのも、得策とは思えないですけどね。
当時の僕が、単純におもしろいゲームが作れればいいとしか考えてなかったとも言えますが^^;

 

――麻枝さん、スクリプトが出来るまで見せないって(^^;
――完成してから話を知った感じでしょうか。

 

もちろん、全部が完成するまでってのは勘弁してもらったんですが
シーンごとに自分が納得するまで見せたくなかったという感じだったのかも。
作成途中段階でも、雰囲気は読み取ることもできるので
本当はいつでも見せてもらえるのがよかったんですけどね^^;

 

――そういえば、久弥さんとか麻枝さんとかいたるさんは率直にはどういう感じの人でしたか?
――今、麻枝さん茶髪になってますね。

 

麻枝くんは、やっぱ男前ですよね。
裏で何を考えているのかよくわからない雰囲気もありましたが^^;

いたるさんは、なかなかかわいいルックスで男性社員から注目されていたと思います。
本人は視力が悪いからと言ってましたが、話すときに妙に顔を近づけてくるので
ドキッとしたことを覚えていますw
自由奔放な性格で誰にでも気軽に話しかける人でしたね。

久弥くんは、すごく背が高くて、マジメな感じの人でしたね。
ONEをやった人なら「嫌です」は茜の口癖として知られていますが、
実はONEの製作以前から本人も即答で「嫌です」をよく言う人でしたw
なので、僕がONEのテストプレイをしたとき、茜の「嫌です」はすぐに彼の顔が
思い浮かぶので感情移入しにくいなーと思ったことがありますw

 

――タクティクスの入社選考もYET11さんが行われたのでしょうか?
――サンプルシナリオはどういう感じでしたか?

 

マイナーなメーカーだっただけに応募も少なくレベルが高くはなかったこともありますが、ほんのワンシーンの文章でしたが、やはり彼らの応募作品は群を抜いていました。
ほとんどの人の応募作品は、キャラを作りきれていないんですよね。

今時の小説家やラノベ作家を目指している様な人の間では当たり前のことかもしれませんが、何気ない描写にもそのキャラの性格をほのめかすような文章になっているんです。

僕はライターを志したことがないので、これぐらいのことしかわかりませんがたぶんいろんな配慮によって、読んだ人が情景を思い浮かべやすいようにできている文章だったんだと思います。

 

――「ONE」はなぜまた障害者の女性を登場させたのでしょうか?

 

これは・・・久弥君の提案で、なぜそんなアグレッシブな挑戦をしたのかは僕にもわからないです^^;
18禁ソフトであることは、エロさ以外にもいろんな意味で作り手が自由であるべきだと僕は考えていましたし、やってみなきゃわからないならやってしまえーと思っていました。

もし誰かに怒られたら、怒られてから考えるというのが僕のポリシーでもあります^^;

 

――えいえんの世界は結局、どういうものだったのでしょうか?

 

昔、雑誌のインタビューでは言霊の様なもの。なんて答えてしまったんですが、本当は、明言を避けただけなんですよね^^;

ぶっちゃけると、その質問の答えはプレイヤーそれぞれがつくり上げるもので、答えはないと思っています。
ひたすら得体のしれない何かがプレイヤーをゲームオーバーに至らしめる。
ある意味、ホラーですねw

実際、悲しい出来事が起きる時というのは、たいてい突然で訳も分からず悲しい感情が自分につきつけられるものだと思います。

仮に、その得体のしれない物に関して劇中に詳しい描写があったとしましょう。
その場合、プレイヤーによってその解釈は大きく別れてしまうと思います。
そんなの簡単に解決できるだろうと思ってしまう人、逆にその描写によってさらに
主人公に感情移入できる人もいるかもしれませんが。

より多くのプレイヤーに、同等の不安感を与えるための描写だったと僕は思っています。

それに、りゅうのすけさんが今もそんな風に「あれは何だったんだろう?」という思っている。
それ自体、まさに麻枝くんが意図したものだったのかもしれません。

 

――他に、YET11さんが指示・提案されたことはございますか?

 

んー、たぶんないと思うんですが・・・
あったとしても、何分昔のことで思い出せません。すみません^^;

ゲームの内容に関してはもうないと思うのですが、基本的に開発環境やプログラマとのやりとりに関してはほとんどが僕の提案によるものです。

当時はまだフリーのスクリプターも社内オリジナルのスクリプターも存在しない時代でしたが、万能でなくとも、他社のものに劣ろうとも、自分たちがタイトル毎に製作したプログラムやシナリオをプログラマでなくとも蓄積、管理していくためのシステムとして、スクリプターが必要だというポリシーを持って、開発に取り組んでいました。

 

――ハムスターはなんで出てきたのでしょうか?

 

これは・・・MOON.のオマケRPGになぜ出てきたのか? というご質問でしょうか?
とすると・・・いたるさんが当時ハムスター大好きだったからとしか^^;

当時、何気に開発メンバーにハムスターを飼っている人が多かったですね。
僕もそうですし、いたるさん、折戸くん、みきぽんさん・・・

もしも・・・ONEになぜハムスターのぬいぐるみが登場したのか?というご質問だとするとこれは、上記のMOON.のオマケRPGで大暴れした存在がゲスト出演という感じですねw

 

――あと、「夕焼け」のOP(「Rise or Lise?」)と、ジャズっぽい曲(「午後の安らぎ」「ルーシュとパンプス」)が好きなのですが、ジャズをされた方が参加されていたのでしょうか?

 

夕焼けサントラの「午後の安らぎ」には、mikuさんのアレンジが収録されています。
この方は、主婦でありながらジャズ・ピアニストとしてのスキルを持つ方です。
ちなみに、PULSENOTESで発表した3番目のCD,SeasonPlaceは全曲mikuさんの曲で、その本格的なJazz演奏を堪能できるものになっていますよ^^

原曲の方は、「午後の安らぎ」「ルーシュとパンプス」もamakko2(尼っ子2号)さんの曲ですね。
この方は特にJazzにこだわりがある訳でもなく、いろんな曲を作る人でしたね。
この人も、UnisonBBSで知り合った人なのですが、その後ゲームメーカー、コンパイルさんに就職が決まってその地位は安泰かと思った矢先に、コンパイルさんが倒産してしまうということがありまして・・・^^;
そういったご縁で、夕焼けのころのTacticsにたくさん曲を提供して頂けることになった次第です。

 

おしまい 

 

カウンター
プロフィール(©大石まさる )
プロフィール(©大石まさる )

川上竜之介。

専門は、まちづくり。

新旧メジャーマイナー問わず、好きなアニメや漫画の町のデザインについて考察しています。

 

アニメや漫画のデザインについて語る

 

第一回目

けいおん!

第二回目

ONE~輝く季節へ~

第三回目

海がきこえる

第四回目

日常

 

 

企画記事

 

第1回目

YET11さん

第2回目

法田恵さん

第3回目

柿崎俊道さん

番外編

梅本竜さん

番外編

Na-Gaさん

第4回

戸越まごめさん

番外編

剣乃ゆきひろさん